2009年7月 3日 (金)

なかなか梅雨が明けません。大雨も困りますが雨もまた風流なものです。
雨とホトトギスが出てくる歌には名歌が多いようです。

「昔おもふ草の庵の夜の雨に 涙な添へそ山ほととぎす」 藤原俊成

これは白楽天の詩

  蘭省ノ花ノ時ノ錦帳ノ下
  廬山ノ雨ノ夜ノ草庵ノ中

を元にしています。

“華やかな昔を思うと 今の草庵の暮らしが侘しくなる
 この寂しい夜に ほととぎすよ泣いてくれるな”

といった意味です。
白楽天が都の友と草庵の自分を比べた詩を元に俊成は雨とほととぎすを入れて素晴らしい歌を詠んでいます。
さすがは俊成。定家のお父さんです。

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2009年6月16日 (火)

ホトトギス

和歌にはホトトギスがよく出てきます。

百人一首にも

「ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる」 後徳大寺左大臣

後徳大寺左大臣とは藤原実定(さねさだ)のことで、平清盛の全盛期から平家の衰退までを眼前でみとどけてきたはずです。

ほととぎすの鳴く方を見てみると、ただ有明の月だけが残っている。有明の月とは夜が明けても残っているうすぼんやりした月です。
というなんてこともない情景なのですが、この月に落ちぶれた平家のことも重ねているとしたら、なにか感慨深いですね。

ところでホトトギスの鳴き声ってどんなだっけと思って調べてみると、今はインターネットで簡単に聞けます。
http://www9.big.or.jp/~mishii/bird/hototogisu.html

そういえばこんな鳥の声よくききますね。「トッキョキョカキョク」とも聞こえます。
この声を聞くために朝まで待ったのかー、おすすめの和歌にも載せてありますが、紫式部も片岡の森で朝まで待っていたんですね。

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2009年6月12日 (金)

梅雨

北陸も梅雨に入りました。ジメジメとうっとおしい季節ですが、しっとりとしてアジサイやハナショウブなどの咲くきれいな季節です。わたしはこの時期が結構好きです。

「うちしめり菖蒲(あやめ)ぞかをるほととぎす 鳴くや五月の雨の夕暮れ」 藤原良経、新古今集

アヤメとホトトギスと雨はよく合うようですね。

アヤメとカキツバタ?、アヤメとショウブは同じ?花にはあまり詳しくないのです・・・。

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2009年6月 1日 (月)

書展

書はよくわからないので敬遠していたのですが、知人の個展でしたのでいってみました。
実物を前にして本人から説明してもらうと、なかなかすばらしいものでした。

書もじっくりみてみるといいものです。

四季それぞれの書があります。写真は春の書、「鳥歌花舞」だそうです。
前の坪庭とマッチしていい雰囲気です。

この書に合わせて万葉集から大伴家持の歌を載せておきます。

「春の苑(その)紅(くれない)にほふ桃の花 下てる道に出で立つをとめ」

ギャラリーは金沢市東山のお茶屋さん。
いい雰囲気の中でおいしいお抹茶もいただきました。

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小坂素石展 -四季を描く-
於:金沢東山 茶房「一笑」

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2009年5月30日 (土)

伊勢物語朗読「第九段」その三

猶行き行きて、武蔵の国と下つ総の国との中にいと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。
その河のほとりにむれゐて思ひやれば、限りなく遠くも来にけるかなとわびあへるに、渡守、
「はや舟に乗れ、日も暮れぬ」といふに、乗りて渡らむとするに、皆人物わびしくて、京に思ふ人なきにしもあらず。
さる折しも、白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚をくふ。京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。
渡守に問ひければ、「これなむ都鳥」といふをききて、

「名にし負はばいざこととはむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと」

とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。

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2009年5月25日 (月)

伊勢物語「第九段」その三

この第九段は都(京都)から東京まで来てしまいますので、伊勢物語にしては長い段です。
都を遠く離れ一行ははるばる隅田川までやってきました。

そこで見かけない鳥がいるので、渡し船の船頭に聞いたところ「都鳥」だという。そこで一首詠みました。

「名にし負はばいざこととはむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと」
“都鳥という名前なのなら聞いてみよう 都のあのいとしい人は無事にくらしているだろうか”

都鳥とはユリカモメのことらしいです。
何を見ても都の彼女が思い出されるといったところでしょうか。
この時代にここまで来たことを思うと、この歌はジンときますね。

写真は都鳥ではなくて、うちの裏にいるカルガモです。

Kamo2

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2009年5月19日 (火)

伊勢物語朗読「第九段」その二

行き行きて、駿河の国にいたりぬ。宇津の山にいたりて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに、つた、かえでは茂り、物心ぼそく、すずろなるめを見ることと思ふに、修行者あひたり。
「かかるみちはいかでかいまする」、
といふを見れば見し人なりけり。京に、その人の御もとにとて、文書きてつく。

「駿河なる宇津の山べのうつつにも 夢にも人にあはぬなりけり」

富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白うふれり。

「時知らぬ山は富士の嶺いつとてか 鹿の子まだらに雪のふるらむ」

その山は、ここにたとへば、比叡の山を二十ばかり重ねあげたらむほどして、なりは塩尻のやうになむありける。

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