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2008年8月

2008年8月31日 (日)

源氏物語(胡蝶)

六条院では春の御殿の池にそのうえで雅楽を奏でるというなんと贅沢なことをやっております。秋の御殿のほうには宮中から秋好中宮が下ってきておりまして、そちらの池の方にも若い女房達をのせて船で行ってしまいます。

※秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)、六条御息所の娘、前斎宮、梅壺の女御とも呼ばれていた。(念のためおさらいを)

紫の上から中宮へ歌が送られます。

「花園の胡蝶をさへや下草に 秋まつ虫はうとく見るらむ」紫の上
“秋の虫はこの胡蝶をみてもまだ春がきらいというのでしょうか”

こんなことが六条院では毎日のように行われていますが、一番の関心事はやはり玉鬘です。毎日、山のようなラブレターが届きます。
この時点でエントリーしている男達を紹介しておきます。

1.蛍兵部卿宮(ほたるひょうぶきょうのみや)
   源氏の弟

2.柏木(かしわぎ)
   頭の中将の長男、ということは玉鬘の弟になるのだが
   本人は知らない。

3.髭黒の大将(ひげくろのたいしょう)
   10年付れ添った妻と子供が3人いるが玉鬘に惚れこんでいる。
   ひげが濃くて、生真面目なおやじ(30代だけど)
   ルパン3世の銭形のとっつぁんを想像してしまうのは私だけか。

4.源氏
   父親代わりと言いながら玉鬘を犯そうとし、必死に拒まれる。

こんな状況で玉鬘は選びようもないし、相談しようにも源氏はこんなだし、大変です。

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2008年8月27日 (水)

源氏物語(初音)

六条院は新年を迎え、光源氏は紫の上に新年の歌を送ります。

「うす氷とけぬる池の鏡には 世にたぐひなきかげぞならべる」光源氏
“薄氷の解けた池に世にもたぐいのない幸せな二人が映っている”

こんな幸せな夫婦はいないね。といいながら源氏は他の女性のところを回ります。

明石の姫君から始まって、花散里、玉鬘、明石の君、ときたところで日も暮れてきたので明石の君の所に新年早々泊まることに・・・で、紫の上の所には朝帰り・・・これではすねるのも無理はないですよね。源氏は紫の上のご機嫌をとろうとしますが、無理に決まっています。

それでもマメな源氏は、次に二条東院の末摘花、空蝉の所を訪問、ご苦労なことです。

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2008年8月23日 (土)

源氏物語(玉鬘)

ここからしばらくは玉鬘(たまかずら)が主役です。この帖から「真木柱」までの十帖は玉鬘十帖と呼ばれています。

玉鬘は源氏が一夜を共にして急死してしまった夕顔の子供で、父親は頭の中将です。(ちょっとややこしい・・・)
玉鬘は母親が亡くなったことは知りません。母親の行方がわからないまま筑紫のほうに移り住んでいたのですが、長谷寺に詣でた時に偶然にも当時夕顔に仕えていて今は源氏に仕えている右近と同じ部屋に泊まることになり、すべてが明らかになりました。

玉鬘は成長して美しい姫君になっています。もちろん源氏はハーレム六条院に引取り、信頼のおける花散里に預けます。あまりにも美しいので多くの男性がいいよることになります。
父親のような顔をしてそばにいる源氏ですが、実は源氏も女性として見ています。玉鬘は気持ち悪いと思っているようです。
この時、源氏は35才、玉鬘は21才。

「恋ひわたる身はそれなれど玉かづら いかなるすぢを尋ね来つらむ」光源氏
“夕顔を恋い続けている気持は変わらないけれど 玉かずらの蔓のようにあの子はどのようにしてここへ来たのだろう”

35才の源氏も参戦したいようですが、さて美しい玉鬘を射止めるのはいったい誰なのでしょう。
これからおもしろくなります。

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2008年8月20日 (水)

源氏物語(乙女)「六条院完成」

実の子が帝になり、その后には藤壺と画策した梅壺女御がなり、こうなればもう怖いものはありません。地位も財政的にも何をしても許されます。

そしてついに、あの大ハーレム「六条院」が完成します。

春の町には「紫の上」
夏の町には「花散里」
秋の町には「秋好中宮(梅壺女御)」
冬の町には「明石の君」

引っ越しも終わり、紫の上と秋好中宮は春がいいか秋がいいか競い合います。
優雅なものです。

「心から春待つ園はわが宿の 紅葉を風のつてにだにみよ」秋好中宮
“春はまだ遠いですよ、こちらの紅葉でも風の便りにご覧ください”

「風に散る紅葉はかろし春の色を 岩音の松にかけてこそ見め」紫の上
“風に散る紅葉は軽いですよ、こちらの松の緑もご覧ください”

で、源氏は春夏秋冬の御殿をいったりきたり、はぁ~!うらやましい。

この六条院のモデルが以前紹介した、東本願寺の渉成園だと言われています。
http://wakaotazunete.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4c70.html

京都の風俗博物館、宇治の源氏物語ミュージアムではミニチュアを見ることができます。
ミニチュアを見るだけでもため息が出ます。

写真は以前、風俗博物館へ行ったときに撮ったものです。

Huuzoku1 Huuzoku2 

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2008年8月17日 (日)

源氏物語(輝く日の宮)

「輝く日の宮」という帖は、現在残っておりません。本当に存在したのかもわかっていないのですが、謎の部分が興味深いので紹介させていただきます。あったとすれば第1帖の「桐壺」と第2帖の「帚木」の間です。

なぜ、こういう説が出てきたのか?

まず、藤原定家が書いた源氏物語の奥入(注釈本)に「輝く日の宮」というタイトルがあるのですが、「この巻もとよりなし」と書かれているのです。

「輝く日の宮」というのは、桐壺の帖に、源氏と藤壺があまりに美しいので「光源氏」「輝く日の宮」と呼んだというところからきています。

次に、内容的に抜けているのではないかという部分があります。
・朝顔の君に源氏がせまって最初にふられるシーン。
・六条御息所との最初の出会い。
・藤壺との最初の不倫。

この部分があると、次の帖からの内容が、辻褄があってきます。
でも、はじめからなかったという説もあります。これは紫式部が読者の想像を掻き立てる為にわざとそうしたというのです。後から出てくる「雲隠れ」という帖はタイトルだけで、内容は光源氏がなくなる部分ということになるのですが、全く存在しません。

また、内容があまりにもきわどいものだったので、誰かが削除したという説もあります。たしかに源氏物語の初めの部分に帝の后と帝の子が過ちを犯してしまう、というのは今にしてもかなり過激な内容ですね。

ミステリアスですねー。「輝く日の宮」についてもっと知りたい方は、次の2冊をお勧めします。

丸谷才一「輝く日の宮」
女性国文学者の主人公が、「輝く日の宮」についての考察を交えながら色々な体験をしていく小説です。私も読みましたが、すごくおもしろいです。瀬戸内寂聴さんも絶賛しています。泉鏡花文学賞を受賞しています。

瀬戸内寂聴「藤壺」
現代文と古文で「輝く日の宮」を書いています。タイトルは他の帖と合わないということで藤壺にしたそうです。これもおすすめです。

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2008年8月14日 (木)

源氏物語(朝顔)

今回の源氏の相手は朝顔の君、源氏とは古いつきあいらしいのですが、えっ、朝顔の君ってどんな人でしたっけ?
これまで詳しくは書かれていないのですが、ずっと源氏のことを拒み続けている珍しい女性です。源氏は拒まれるとますますストーカーになる性格ですので、なかなかあきらめないのですが、それでも拒み続ける朝顔の君です。

「見しおりの露忘られぬあさがほの 花のさかりは過ぎやしぬらむ」光源氏
“もう花のさかりは過ぎたのですか?”などと失礼な歌を朝顔に君に送ります。

こんな源氏ですから、紫の上はますます悩みますよね。
そこでまたやめておけばいいのに、藤壺、朧月夜、花散里などの思い出話をするものですから、ますますかわいそうな紫の上です。

そのあげく、源氏の夢の中に藤壺がでてきて、「なんで私たちの秘密をばらしたの?」といわれてひどい目にあいます。必死に藤壺の霊を沈めようと祈祷するのですが、紫の上に言うわけにも行かないし、サンザンな源氏です。

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2008年8月11日 (月)

源氏物語(薄雲2)「藤壺の死」

光源氏の最愛の人、藤壺がなくなります。この時代の女性の寿命は短かったのか源氏は次々と愛する女性を失います。夕霧、葵上、六条御息所、そして藤壺、源氏にとっては今回が一番ショックだったのではないでしょうか、源氏は何日も御念誦堂にこもって泣き暮らします。

「入日さす峰にたなびく薄雲は もの思ふ袖に色やまがえる」光源氏
“入日のさす峰の薄雲までも この喪服の袖の色と同じようだ”

だれもいない念誦堂で一人かなしい和歌を読む源氏です。

この薄雲の帖ではこの後、帝が実の父が源氏であることを知ってしまうという大事件が起こり、物語は急テンポに展開してゆきます。

※ブログの記事も、かなり進んできましたので、わかりやすいようにタイトルに一言添えました。

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2008年8月 8日 (金)

源氏物語(薄雲1)

源氏は明石の君の子供を紫の上に育てさせることを決心しました。
3つの子を親から引き離すのですから、源氏も罪なことをしたものです。紫の上の機嫌を直すには他の手段はなかったのでしょう。

明石の君とおさない姫君が別れる場面です。

「末遠き二葉の松に引き別れ いつか木高きかげを見るべき」明石の君
“生い先の長い二葉の松のような姫君がいつか小高い松のように生長した姿を見ることができるのでしょうか”

「生ひそめし根も深ければ武隈の 松に小松の千代をならべむ」光源氏
“ふたりの間に生まれてきた宿縁は深いのだから、あの武隈の松のようにきっとふたりで成長した姫の姿を見ることができるでしょう”

明石の君はあまりに激しく泣くあまり和歌を最後まで言い切れないほどです。

※補足「武隈の松」:奥の細道のサイトに詳しくのっていましたので、紹介しておきます。
http://www.bashouan.com/plTakekumamatu.htm

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2008年8月 7日 (木)

源氏物語(松風)

明石の君が姫君を連れてとうとう都に出てきました、源氏との間に出来た姫君は3つになりかわいいさかりです。源氏は久しぶりに会うことができてうれしくてしょうがないのですが、紫の上の機嫌が悪いのでなかなか会うことができません。

それはそうですよね、紫の上は源氏が明かしに流されていた間、死ぬほど心配していたのに帰ってきてみたら、新しい女がいて子供までいたのですから。それに紫の上には子供が出来ないのでますますいじけます。

和歌は、久しぶりに会った源氏と明石の君が嵯峨野で交わす歌です。

「契りにしかはらぬ琴の調べにて 絶えぬ心のほどは知りきや」光源氏
“明石で約束したときの琴の調べのように、今も変わらない私の心を知っていますか”

「変らじと契りしことを頼みにて 松のひびきに音(ね)を添へしかな」明石の君
“気持ちは変わらないという約束を頼みにして、松の風に泣き声をまぎらせて待っていました”

さて、源氏は自分でまいた種をどうするつもりなのか、明石の上の子供を紫の上に渡してしまおうか、なんて事を考えています。

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2008年8月 5日 (火)

源氏物語(絵合)

このあたりから登場人物がちょっとややこしくなってきますので、一度おさらいしておきます。

光源氏、31才

藤壺、36才
今は出家して尼宮と呼ばれる。

紫の上、23才
最近は明石の君にも子供が出来て、悩みが多い。

朱雀院、34才
前の帝

冷泉帝、13才
今の帝、実は源氏の子。

前斎宮、22才
六条御息所の娘、後から秋好中宮とか梅壺女御と呼ばれることもあるのでややこしい。

弘徽殿女御(こきでんのにょご)、14才
頭中将(とうのちゅうじょう)の娘、あの源氏が大きらいな、おそろしい弘徽殿の大后とは別人です。頭中将はここでは權中納言(ごんちゅうなごん)と呼ばれています。ますますややこしい。

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それでは、絵合(えあわせ)の帖にはいります。
朱雀院は実は前斎宮のことを好きで自分のところに迎えたかったのですが、源氏と藤壺は六条御息所の遺言を利用して冷泉帝に入内させます。冷泉帝は実はこの二人の子供なので、これで源氏と藤壷は絶大な権力を持つことになります。藤壺が積極的に画策したようで、源氏は後ろめたい気持ちがあります。

朱雀院はショックですが、もうどうしようもありません。入内の贈り物の小櫛に歌が結びつけてありました。

「別れ路に添へし小櫛をかごとにて はるけき仲と神やいさめし」朱雀院
“別れのときに挿した櫛にかこつけて 神は二人の仲を裂いてしまうのでしょうか”

かわいそうな朱雀院です。藤壺は出家してから人が変わったようです。それともこれが本性だったのか。

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2008年8月 3日 (日)

朗読小屋「浅野川倶楽部」

朗読担当のnorikoさんが所属する浅野川倶楽部の朗読会に行ってきました。演目は「かわうそと風鈴」。折りしも先週、浅野川が氾濫して浅野川沿いの一帯が水害に見舞われましたが、このお話は浅野川の氾濫をかわうそが救うというもの。水害にあわせたわけではありませんが、実感として感じられる内容でした。他にも石川の方言での朗読もあり、しみじみといい朗読会でした。

まだ水害の爪あとが残るこの界隈、皆さん大変だと思いますが、がんばってください。

Asanogawa2 Asanogawa3 Asanogawa1

※朗読小屋「浅野川倶楽部」での公演は随時行っております。詳細はホームページをご覧下さい。

「朗読小屋 浅野川倶楽部」ホームページ

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2008年8月 2日 (土)

逢坂の関

光源氏と空蝉がすれ違った逢坂の関は百人一首にも出てきます。
今日紹介するのは清少納言の歌、ご存知「枕草子」の作者で紫式部のライバル!

「夜をこめて鳥の空音ははかるとも よに逢坂の関はゆるさじ」清少納言

この歌は、どうも清少納言に気があったらしい大納言行成をやりこめたような歌です。

行成は清少納言と話していた夜に急用が出来て帰らなければならなくなった次の日に、
中国の故事にある、鳥の声を真似て関所を開けさせたという話を持ち出して、また逢いたいようなことを清少納言に和歌で書きました。その返事がこれです。

“鳥の声を真似たって 私の逢坂の関は開かないわよ フン”という感じです。

このエピソードは「枕草子」の129段に清少納言自身が書いていますので、興味のある方はどうぞ。
紫式部、清少納言、この時代にはすごい女性がいたのですねー。

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