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2008年10月

2008年10月30日 (木)

ちはやぶる

紅葉の季節になりました。この頃になるとどうしてもこの話しが頭に浮かんできます。

『江戸時代の相撲取り、竜田川はある日吉原へ行き花魁(おいらん)の千早太夫に惚れてしまうがあっさり振られてしまう、しょうがないので妹の神代太夫に迫るがまた振られる。
5年後、相撲取りをやめ豆腐屋をしていた竜田川のところへ、物乞いの女がおからをわけてくれとやってくる。よく見るとその女は落ちぶれた花魁の千早太夫だ。
おからなんかやらないと言うと、豆腐屋の前の井戸に身を投げてしまった。』

「ちはやぶる神代も聞かず竜田川 から紅に水くくるとは」 在原業平

最後の“とは”は千早太夫の本名だそうです。

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2008年10月28日 (火)

源氏物語(横笛)

夕霧は柏木が亡くなり未亡人となった女二宮を訪ね、柏木が肌身離さず持っていた横笛を譲り受けます。

その後、夢の中に柏木の亡霊が出てきてその笛は他に譲りたい人がいるのだと意味深なことを言います。

「笛竹に吹き寄る風のことならば 末の世長きねに伝へなむ」 柏木の亡霊

”笛竹に吹き寄る風、どうせなら末永くこの子に伝えたい”
この子とは源氏と女三宮との間に生まれた薫のことでしょうが、夕霧は薫が柏木の子だということを知りません。どうも顔立ちは柏木に似ているので、疑っているのですが、源氏に聞いてもはっきりとは言いません。

その薫は2才になり、すでに常人ではない美しさというのですから、また波瀾を呼びそうな雰囲気です。

p.s.ホームページのほうを大幅に変更しました。これまでに紹介した和歌のリストも作りましたので、このブログの目次としてもご利用下さい。

http://homepage3.nifty.com/wakaotazunete/

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2008年10月26日 (日)

源氏物語(柏木)

女三宮は男の子を出産します。源氏の子ということになっていますが、実は柏木との不義で生まれた子です。

柏木は源氏の一睨みで寝込んでいましたが、そのまま回復せずとうとう死んでしまいます。源氏に責められたことから来る心の病です。恐ろしいものです。

源氏は女三宮に対してもきついことを言います。

「誰が世にか種はまきしと人問はば いかが岩根の松はこたへむ」 光源氏

“いつか誰かに誰が種を蒔いたのかと聞かれれば 岩根の松のようにかわいいこの子は何と答えるだろうか”

こう言われて女三宮もますます悲しくなります。源氏も実の子ではないこの子を抱いて心境は複雑です。

源氏がこの子を抱いているところの国宝源氏物語絵巻がありますので、復元模写で紹介しておきます。
(よみがえる源氏物語絵巻より)

源氏の表情が悲しげです。この子が、この後の宇治十帖の主人公となる薫です。

Kasiwagi

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2008年10月24日 (金)

源氏物語(若菜下)その4

若菜の帖は、改めて読んでみるとやはり充実していますね。様々なエピソードが入り組んで進んでいきます。

さて、柏木はいったいどうなるのか?
ここでは、その状況だけをかいつまんで追ってみます。今回は和歌はありません。

女三宮は、なんと柏木の子を宿してしまいます。50も近い源氏は、今まで長い間子供は出来なかったので、さすがにあやしみます。そしてついに柏木が送った手紙をみつけてしまい、すべて知ることになります。
激怒した源氏は、宴会の席で柏木をにらみつけ、それとなくいやみな言葉を言います。周りの者は気づきませんが柏木は大変なショックを受け寝込んでしまいます。

しかし、よく考えてみると源氏も同じ過ちを藤壺とおかしていたのです。自分も罪深いことをしたのかと悩みます。

そして、物語は第36巻、柏木の帖へと続きます。

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2008年10月22日 (水)

万葉集の木簡3

またもや万葉集の木簡のニュースが入りました。

奈良の石神遺跡で発掘された木簡に万葉集の和歌が書かれていたことが確認されました。これが最古の物となるそうです。

「朝なぎに来寄る白波見まく欲(ほ)り 我はすれども風こそ寄せね」 読み人知らず

《見まく》は見たい・会いたいという意味、《欲る》は望むという意味ですから、《見まく欲り》は会いたいと思うという意味ですね。
《白波》は彼女のことだとすると、

“朝なぎの海を見ながら彼女のことを待っているが、風も吹かないし彼女も来ない”という意味でしょうか。万葉集らしい雄大で悲しい、いい歌ですね。

この木簡をこの時代の人はどういう風に使ったのでしょうか。
和歌のお手本?貴族のステータス?・・・
7世紀の終わり頃だそうですからまだ万葉集も完成していなかった時期です。やはり日本では太古から和歌の文化が栄えていたようですね。

この文化が現代まで続いていて、千年以上前の人と同じ感動を味わっているというのはすばらしいことだと、しみじみ思います。

朝日新聞記事へ
http://www.asahi.com/culture/update/1017/OSK200810170080.html?ref=rss

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2008年10月18日 (土)

源氏物語(若菜下)その3

なんと病に臥せり二条院へ移っていた紫の上がお亡くなりになられたとの知らせが六条院へ届きます。突然の知らせに驚いた源氏はもうパニック状態で紫の上の元へ駆けつけます。

あきらめきれない源氏は高名な僧たちを呼び集め加持祈祷させます。

すると、小さな女の子に乗り移った怨霊が現れ、あまりに源氏が悲しむので殺すのをやめたといい、紫の上は息を吹き返します。

怨霊の語っていることから、これはまたも六条御息所だとわかります。さすがは六条御息所、怨霊になって出てきても和歌を詠みます。

「わが身こそあらぬさまなれそれながら そらおぼれする君は君なり」 六条御息所の怨霊
“私はこんなあさましい姿になりはてましたが いつまでもとぼけているあなたは変わりませんね”

六条御息所はついに怨霊となって魔界をさまよう身になってしまいました。紫の上を殺そうとまでした怨霊ですが、自分の娘の秋好中宮は源氏のお世話になっているので、そのへんは一応感謝しているようです。

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2008年10月15日 (水)

源氏物語(若菜下)その2

柏木はますます女三宮のことが忘れられず、とうとう屋敷に忍び込んで思いを遂げてしまいます。女三宮はあまりのことにショックを受けます。

柏木と一夜明かした後の女三宮の歌です。

「明けぐれの空に憂き身は消えななむ 夢なりけりと見てもやむべく」 女三宮
“夜明けの暗い空に消えてしまいたい 夕べのことは夢だったと思いたい”と悲しみます。

女三宮は悲しさのあまり寝込んでしまいます。その頃、紫の上も病気になり寝込みます。
源氏の回りではすべてが悲しい方向へ向かっているようです。

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2008年10月14日 (火)

源氏物語(若菜下)

柏木の女三宮への執着はますます強くなっていきます。

六条院で女三宮を垣間見てしまう、あの原因を作ったのは御簾に紐を絡ませた子猫ですが、
なんとその子猫を理屈をつけて貰い受け、女三宮のことを想像して一緒に寝たりしています。

「恋ひわぶる人のかたみと手ならせば なれよ何とて鳴く音なるらむ」 柏木
“恋こがれている人の代わりと思ってかわいがっているのに、おまえはどうしてまだ鳴くの”

ここまでくると、もう変質者です。猫の鳴き声も「ねうねう」(寝よう寝よう)と聞こえ、ニヤニヤしています。

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2008年10月11日 (土)

朗読のお誘い

朗読担当のnorikoさんからのお知らせです。

能美市立根上図書館 11月18日(土) 19:00~
幽玄の調べ ~尺八と語り~

尺八と語りの共演です。秋の夜長どうぞお出かけ下さい。

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2008年10月 9日 (木)

源氏物語(若菜上)その2

女三宮が悪いわけではないのですが、この人が登場してから次々と悲劇が起こります。
まず今回の悲劇の主役は柏木です。
その発端は例によって「垣間見」です。夕霧達と蹴鞠をしているところへ猫が走り出てきます。その猫に付けてあった紐が女三宮の御簾にからまり、御簾がめくれ上がったことで女三宮の姿が見えてしまいます。
それから柏木は取りつかれたかのように女三宮に夢中になってしまいます。

しかし、なんといっても源氏の正妻ですからどうにもなりません。源氏が出家でもすればチャンスは巡ってくるか、なんてことも考えています。

「いかなれば花に木づたふ鶯の 桜をわきてねぐらとはせぬ」 柏木

六条院から夕霧と一緒に帰る車の中で、こんな歌をつぶやきます。“どうして花から花へ渡っていく鶯は、桜だけをねぐらとしないのか”柏木は源氏が紫の上ばかりかわいがっているので女三宮がかわいそうだと思っています。紫の上はそうは思っていないのですが・・・

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2008年10月 6日 (月)

源氏物語(若菜上)

ここから源氏物語は第二部に入ります。
第一部では、この世の星と言わせるほど、頂点まで上り詰めた源氏ですが、ここからはこれまでのようにはいきません。源氏自身もそうですが、周りの登場人物も、悲劇的な運命をたどります。

この若菜の帖は紫式部も力を入れていて源氏物語の中でも最高傑作とも言われています。上下合わせると約270ページ(瀬戸内寂聴訳)、だいたい他の帖が2、30ページで来ていますから、力の入れようがわかります。
源氏物語は若菜から読めという人もいますが、最初から読まないとやはり筋書きがよくわからないので私はおすすめしません。

さて、ここで初めて登場するのが女三の宮(おんなさんのみや)。源氏の腹違いのお兄さんである朱雀院の娘です。
病弱の朱雀院から源氏の正妻にと頼まれます。このとき源氏は40才、女三の宮は14、5才。さすがの源氏も断りますが、結局断り切れず正妻に迎えることになります。この後、朱雀院は出家し西山の御寺にはいります。この御寺が今の仁和寺です。先日訪ねた時の写真がフォトギャラリーにありますのでご覧ください。

いくら乗り気ではないとはいえ、こうなるとますますショックを受けるのが紫の上です。

「目に近くうつればかはる世の中を 行く末遠く頼みけるかな」 紫の上

“目のあたりに変わっていく世の中にあっても あなたとの仲は行く末まで変わらないと思っていましたのに”というけなげな紫の上を残して、源氏は女三宮の所へ通います。

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2008年10月 4日 (土)

土佐日記

石川県立美術館で藤原定家が書き写した土佐日記を公開していたので見てきました。加賀藩前田家所蔵のものです。

土佐日記というと紀貫之が女が書いたということにして綴った日記ということで有名ですね。
今でも女だと思わせておいて実は男が書いているブログだとか、ケータイ小説等も多いよううですが、千年以上前の紀貫之が最初だったのでしょうか。

「をとこもすといふ日記といふ物 をゝむなもして心みむとてする・・・」と書いてあるのが写真でもわかります。これは会場でもらったちらしです。
これを定家が書いたのかと思ってみると、感慨深いものがありました。
さすが加賀百万石の前田家、持っているものが違います。

定家はご存じ百人一首の選者ですが、もちろん貫之の歌もいれておりますので紹介しておきましょう。

「人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける」 紀貫之

貫之が長谷寺に参詣した時、久しぶりに訪ねた宿で読んだ歌です。あなたの心は変わったかもしれないが、梅の花は昔のままに香っていますよ。という歌です。
宿の主人は、昔の恋人?・・・という説もあります。

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2008年10月 3日 (金)

月見光路&月見宴

金沢市のメインストリートで月見光路というイベントが開かれています。

地元学生達によって市役所・旧県庁・21世紀美術館等の周りが光のオブジェで演出され、なかなかいい雰囲気になっていました。

コンサートや語りのステージもあり、昨夜は朗読小屋浅野川倶楽部の高輪真知子さんの朗読がありました。光のオブジェに飾られたステージでの朗読はすばらしいもので、演目は五木寛之氏の「主計町(かずえまち)あかり坂」、月見の宴にぴったりの朗読でした。

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高輪真知子さんについては浅野川倶楽部のホームページをご覧ください。
「朗読小屋 浅野川倶楽部」http://asanogawaclub.web.fc2.com/

「月見光路」http://www.kanazawa-it.ac.jp/prj/tsukimi/

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2008年10月 1日 (水)

源氏物語(藤裏葉)

源氏の息子夕霧は、頭中将の娘、雲居雁との結婚がようやく許されることとなりました。

明石の君は同じ六条院の中にいながら何年も会うことのできなかった姫君にやっと会うことができました。

頭の中将は太政大臣(だいじょうだいじん)になります。

源氏は準太上天皇(じゅんだいじょうてんのう)になります。準太上天皇というのは天皇が譲位した後の位に準ずるという位で、これで最高の地位まで上り詰めてしまったということになります。

頭の中将は源氏と一緒に舞った青海波のことを思い出します。でもやはり源氏は特別の人だったのだなあと思い、歌を送ります。頭の中将は源氏のよきライバルでしたがやはり源氏にはかないませんでした。紫の雲、菊の花、世の星、これ以上の讃辞はありません。

「紫の雲にまがへる菊の花 濁りなき世の星かとぞ見る」 太政大臣

まさに♪地上の星♪です。とうとうここまできてしまいました。
しかし、来年は40歳になります。この時代、余生も長くはありません。息子もなんとか落ち着いたようです。
源氏は出家を考えます。

栄華を極めれば後は寂しいものというのが、源氏物語を読んでいるとしみじみと感じられます。

光源氏の栄華の物語は、ここで一区切り、第一部を終えます。

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