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2008年11月

2008年11月28日 (金)

源氏物語(橋姫)

ここから宇治十帖が始まります。
光源氏はすでに亡くなっており、ここからの主役は薫と匂宮です。

舞台は宇治、源氏の腹違いの弟である八の宮が隠居生活を送っています。薫は仏道の修行をしている八の宮に惹かれ宇治に通います。
そこで八の宮の娘の大君(おおいきみ)と中の君を垣間見てしまいます。

仏門に入ろうかと思っている薫ですが、一度見てしまったらもう忘れられません。例によってここから物語が始まります。

薫は大君に歌を送ります。

「橋姫の心をくみて高瀬さす 棹のしづくに袖ぞ濡れぬる」
”橋姫のようにこの山里で暮らしているあなたを思うと 涙で袖が濡れてしまいます”

大君も返します。

「さしかへる宇治の川長(かわおさ)朝夕の しづくや袖を朽たしはつらむ」 大君
”宇治川の船頭のように 私の袖も涙で朽ちてしまいます”

前にも書きましたが宇治の橋姫には二通りの伝説があって、
「さむしろに衣かたしき今宵もや 我をまつらん宇治の橋姫」の歌に読まれるように恋しい橋姫と、仲のいい男女を鬼となって殺してしまう恐ろしい橋姫の話しが伝わっています。

ここではもちろん前者でしょうが、ここからの展開はどうも恐ろしい橋姫がからんでいるように思えてなりません。

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2008年11月26日 (水)

源氏物語「宇治十帖」

このブログも源氏物語をここまで和歌を中心に読んできて、いよいよ「宇治十帖」に入ることになりました。

宇治十帖は、源氏物語の中でも一番好きな部分です。宇治にも何度も通いました。宇治川と橋、宇治上神社、平等院、源氏物語ミュージアム等、何度も行きました。

百人一首の
「朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の綱代木」 権中納言定頼
は、まさにこの物語を象徴しているように思われます。

先日、田辺聖子さんの訳を書店で見つけ、いま読んでいるところです。瀬戸内寂聴さんの訳は原文に忠実でなおかつ読みやすいというすばらしい訳ですが、田辺聖子さんの訳は、原文に忠実ではありませんが現代小説としても読めるこれまたすばらしいものです。

最初の部分だけでもすごく惹きつけられますので、ちょっと紹介しておきます。
「竹河」の帖から始まります。

「霧ふかき宇治の恋」
(---自分はどこから来たのだろう・・・いったい、自分は誰の子なのだろう・・・)
青年、薫の悩みは深い。
しかもその悩みを人にうちあけられない。・・・

こんな出だしです。これだけでこのあとどうなるのか心配になってきますね。

では、次回からまた和歌を取り上げて宇治十帖を読んでいきたいと思います。よかったらお付き合い下さい。

霧ふかき宇治の恋―新源氏物語〈上〉 (新潮文庫)

霧ふかき宇治の恋―新源氏物語〈下〉 (新潮文庫)

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2008年11月25日 (火)

映画「千年の恋」

先日石山寺へ行ったときに映画「千年の恋」で使われていた衣装が展示されていました。
2001年の封切りのときは見たのですがもう一度見てみようかということでレンタルDVDを借りてきて見ました。

松田聖子が歌をうたいながら空を飛んでいたり、玉鬘が裸で水浴びをしていたりとつっこみどころはいろいろありますが、改めて見てみると結構楽しめました。
この映画では光源氏と紫の上の関係は最後にはかなりこじれていて、紫の上の最後のシーンでも光源氏は登場せず明石の姫君だけが出てきます。前に見たときにはこういう細かいところは見逃していました。
紫式部と藤原道長、清少納言との関係もよくわかります。

7年前の映画ですが、もう一度みてみてはいかがでしょうか。

写真は紫式部役の吉永小百合と紫の上の常盤貴子が着ていた衣装です。

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2008年11月24日 (月)

源氏物語(竹河)

この時代、催馬楽(さいばら)という歌がはやっており、その中の竹河を薫が歌ったところからこの帖名がついています。

どこで歌ったかというと玉鬘の御殿です。
玉鬘といえば、髭黒の大将に無理やり犯されかわいそうな結婚生活を送らざるをえなかったのですが、結局は5人の子供も出来、髭黒はもう亡くなってしまいましたが幸せな人生を歩んでいるのです。
その一番上の姫君、大君(おおいきみ)を薫は狙っていたようなのですが、玉鬘は冷泉院に差し出します。
冷泉院は玉鬘のことが今でも好きで髭黒に取られてしまったことを根に持っているので大君のことは仕方なかったようです。

こんなこともあり薫はまだ若いのですがご隠居みたいな歌を読みます。

「流れての頼めむなしき竹河に 世は憂きものと思いしりにき」
“時は流れ竹河を歌った頃の希望もなくなり 世の中は悲しいものと知りました”

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2008年11月23日 (日)

源氏物語(紅梅)

「心ありて風の匂はす園の梅に まづ鶯の訪はずやあるべき」 按察大納言
“こころがあって風が匂いを送る園に 鶯が来ないはずがありません”

按察大納言(あぜちだいなごん)とは今はなき頭中将の次男で、兄の柏木が若くして亡くなったので家をついでいます。
その2番目の中の姫君を光源氏の血を受け継ぐ匂宮に嫁がせたいと、娘に代わってせっせと歌を送っています。本人はそんな気はさらさらないようですが・・・。

このあたりの帖は「匂宮」「紅梅」「竹河」の3つで「匂宮三帖」と呼ばれることもあり、宇治十帖へのプロローグのような部分です。作者は紫式部ではないという説もありますが、光源氏が死んでから宇治十帖までの大切なつなぎの部分です。

しかしよく読んでみるとかなり関係が複雑です。

匂宮が本当にすきなのは、大納言がすすめるこの中の姫君ではなくて、北の方の連れ子である姫君です。(北の方とは正妻のことです。)
今の北の方はもとは蛍兵部卿の北の方であり、故髭黒の大臣が玉蔓と結婚したときに出て行った前の北の方(真木柱)の姫君です。

今の説明がすんなりわかった方はかなりの源氏通です。私もいつもは読み飛ばしていましたが、今回調べなおしてやっとわかりました。たぶん^^;

とにかく今回言いたいのは光源氏の血を引く匂宮が、やはりかなりの女たらしだということです。それに比べて薫は堅物で自分の出生に悩み出家まで考えています。

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2008年11月22日 (土)

源氏物語(匂宮)

正式な帖名は匂兵部卿(におうひょうぶきょう)です。
光源氏亡き後、ここからは薫が主人公です。

薫は源氏と女三宮(おんなさんのみや)との間に生まれましたが、ご存知の通り実は柏木と女三宮の不義の子です。生まれながらにして芳香を放つというすばらしい体質の持ち主です。

そして匂宮(におうのみや)は明石の中宮と今上帝(きんじょうてい)の間に生まれた三の宮です。明石の中宮は明石の君の娘ですから、源氏の孫ということになります。

この二人はライバルとしてこの後の物語の中心となります。光源氏と頭中将のような関係ですね。
世間的には薫は源氏の子ということになっていますが、実は出生に秘密があるのでは?と薫自身も気付きはじめています。

「おぼつかな誰に問はましいかにして はじめも果ても知らぬわが身ぞ」
“生まれもこの後もなにもわからない私は いったい誰に問えばいいのだろう”

なにかかわいそうになりますね。

薫と匂宮の家系がややこしくなってきましたので、このあたりでまた系図を載せておきます。

Keizu

角川書店「源氏物語必携事典」より

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2008年11月18日 (火)

山中温泉の紅葉

紅葉がきれいな季節となりました。
百人一首にぴったりの歌があります。

「山川(やまがわ)に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり」 春道列樹

『しがらみ』は川をせき止めるための柵のようなものです。
“山の川に流れないでたまっている紅葉は、風がかけたしがらみなんだなぁ”という歌です。

作者は比叡山から滋賀のほうへ抜ける山道でこの歌を読んだということです。
すばらしい歌ですねー、私なんかは川にたまっている紅葉を見ても、こんな歌はとうてい浮かびません。

写真は先日、加賀の山中温泉へ行ってきたときのこおろぎ橋あたりの紅葉です。

Yamanaka1 Yamanaka2 Yamanaka3   

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2008年11月17日 (月)

源氏物語(雲隠)

この帖はタイトルだけで、本文がありません。
が、内容としては光源氏の死が書かれているはずです。
これに関してはいろいろな説があります。

1.この巻には光源氏の死が描かれており、これを読んだ者たちが世をはかなんで次々と出家してしまったため時の天皇の命により内容を封印してしまった。

2.この巻の内容はどこかに密かに残されている。

3.わざとタイトルだけの形にした。

1.2.はWikipediaより引用しました。
3は丸谷才一氏もこの説を採り、瀬戸内寂聴さんも訳本の解説でもこの説を書かれています。

私も3の説を採りたいと思います。幻の帖の最後で「この世のものとは思えないほど美しい姿」を見せた源氏の死ぬ場面は書かないほうがいいとおもったのかもしれません。
いづれにしても、ミステリアスですね。タイトルも「雲隠」です。

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2008年11月16日 (日)

源氏物語(幻)「光源氏、死を覚悟する」

光源氏もいよいよ死を覚悟します。
この時代52才でもう覚悟しなければならないのですね。

出家の決意もし紫の上とかわした文も泣きながら焼き捨てます。
栄華の頂点にいた光源氏が泣きながら手紙を焼いているという姿は、想像するだけで悲しいというか、あわれですね・・・。

「もののあわれ」とはこんな場面をいうのでしょうか。
紫式部が一番書きたかったのはこの部分なのかな、とも思います。

年の暮れに読んだ歌です。光源氏が詠んだ最後の歌になります。

「もの思ふと過ぐる月日も知らぬまに 年もわが世も今日や尽きぬる」 光源氏
“もの思いにふけっているうちに 今年も私の年も今日で尽きてしまうのですね”

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2008年11月14日 (金)

新聞に掲載されました

和歌とは関係ありませんが、こっちが私の本業です。

石川県の北國新聞という地方紙に、難病患者の方達と取り組んでいる事業が紹介されました。彼らのファイトには私も励まされています。
今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

11月14日付け北國新聞です。ホームページにも出ています。

http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20081114102.htm

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2008年11月11日 (火)

石山寺(源氏夢回廊)

滋賀県の石山寺へ行ってきました。紫式部ゆかりのお寺で源氏物語にも何度か出てきますね。
髭黒の大将は玉蔓と結婚するために熱心に石山寺に詣でて、見事願いがかないます。

今年は源氏物語千年紀ということで『源氏夢回廊』というイベントをやっていました。

田辺聖子さん訳の源氏物語を紹介してあるコーナー、物語の中の和歌をパネルにして紹介してあるコーナー等、興味深い展示がありました。
源氏物語和歌集というのを売っていましたので思わず買ってしまいました。物語中のすべての和歌と円地文子さんの訳が載っています。これはなかなかいい本です。

境内には源氏物語の和歌のパネルなどが置いてあり、なかなかいい感じです。が・・・

この後、紅葉もきれいな石山寺の境内を散策、本堂の横には源氏の間というのがあり、ここで紫式部が月を見ながらインスピレーションを受け源氏物語を執筆した・・・?・・・とか。中にはなんと紫式部が座っていた・・・?
有名な山門の前には最近の観光地のご他聞にもれず、キャラクターの着ぐるみが・・・おおつ光ルくんという名前だそうです・・・
ムラサキシキブというロボットも今回の目玉だそうです。
映画「千年の恋」で吉永小百合が着た衣装も展示してありました。これはうちのカミさんがすごく喜んでいました。

このイベントでは源氏物語を知らない子供たちも楽しんでいたようでした。
日曜日だったせいか観光客もすごく多く、観光バスでやってきた酒くさいオッチャン達もおおいに楽しんでいたようでした・・・。

石山寺は紫式部の伝説があることから、源氏物語に関する文化財や資料も多く、源氏物語ファンとしては一度は行ってみたかったのですが、今日のブログにはやたらと「が」とか「・・・」とか「?」が多くなってしまいました。

そういえば先日NHKスペシャルでやっていた黄金の源氏物語絵巻も石山寺にあります。

Kairou Tanabe Waka    
夢回廊入り口・田辺聖子文学館・和歌のパネル

Kouyou_2 Kouyou2_2
境内の紅葉

Murasakisikibu_2 Hikaru
源氏の間・光ルくん   

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2008年11月 7日 (金)

源氏物語(御法)「紫の上の死」

源氏物語の中でも一番悲しい場面です。クライマックスといってもいいでしょう。

紫の上が亡くなる前に少しだけ体を起こし庭の萩の上露をみて歌を読みます。
源氏と明石の中宮がそれに答えます。
明石の中宮は源氏と明石の君の子ですが、小さいときから紫の上が育てました。最後に手をとるのは明石の中宮です。

「おくと見るほどぞはかなきともすれば 風に乱るゝ萩の上露」 紫の上
“起きては見ましたが私の命は 風に乱れる萩の上露(うわつゆ)のようにはかないものです”

「ややもせば消えをあらそふ露の世に 後れ先だつほど経ずもがな」 光源氏
“ともすれば先を争って露のように死んでゆく世の中ですが、私も一緒に死にたいものです”

「秋風にしばしとまらぬ露の世を たれか草葉のうへとのみ見む」 明石の中宮
“秋風に吹かれとどまることのない露を 誰が草の上だけのことだとおもうでしょうか”

三人が同じ萩の葉の上の露を見て、はかない命を歌にします。

紫式部はなぜ源氏ではなく中宮に最後に手を握らせたのか、いろんな説があるようですが、私も最後は源氏と二人きりのほうがよかったような気がしますが・・・ほんとに悲しい場面です。

イラストはいつもお世話になっているアゲマキさん作です。

Okuto

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2008年11月 5日 (水)

源氏物語(夕霧)

この帖は源氏の長男夕霧が主役です。

まじめなだけがとりえのような夕霧。恋もこれまでは雲居の雁と苦労の末結ばれ、幸せな結婚生活を送っていたはずなのに、このようなまじめな青年が一度乱れだすと誰に求められません。
なんと亡くなった柏木の未亡人、女二宮に恋してしまい拒む宮と無理やり一夜を明かしてしまいます。

その朝、

「荻原や軒端の露にそぼちつつ 八重立つ霧をわけてゆくべき」 夕霧
“軒端の外の萩の原の露に濡れながら 霧の中を淋しく帰ります”

「わけゆかむ草葉の露をかごとにて なほ濡れ衣をかけむとや思ふ」 女二宮
“あなたが踏み分けて行く草葉の露にかこつけて まだ私に濡れ衣を着せようとなさるのですか”

ひどい仕打ちを受け女二宮は完全に怒っています。この後も夕霧は宮に無理やり迫りますが心はうちとけず、正妻の雲居の雁も怒って実家へ帰ってしまいます。

やはり夕霧は源氏の子、血筋は争えません。

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2008年11月 1日 (土)

源氏物語(鈴虫)

出家した女三宮を源氏は訪ねます。といっても六条院の中なのですが。
物語の中では出家した後なので尼宮と呼ばれます。

尼宮は秋の虫の声を聞きながら、歌を読みます。源氏も歌を返し、琴を弾きます。
そこへ十五夜の月が上がるという、しっとりしたいい場面です。

「おほかたの秋をば憂しと知りにしを ふり捨てがたき鈴虫の声」 女三宮

“秋といえば悲しいものとはわかっているのですが、鈴虫の声を聞くと様々のことが思い出されます。”

「心もて草のやどりをいとへども なほ鈴虫の声ぞふりせぬ」 光源氏

“みずから出家したあなたですが、いまだに鈴虫の声のようにお美しい”

この鈴虫の帖にも、国宝源氏物語絵巻が残っています。女三宮との場面と、この後すぐに呼ばれて行った、冷泉院での場面です。
右側の絵は皆さん見たことがありますね、今はあまりみられなくなった二千円札です。
左が冷泉院、右が源氏です。

Suzumusi1_2 Suzumusi2_2

「よみがえる源氏物語絵巻 NHK名古屋放送局発行」より

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