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2008年12月

2008年12月31日 (水)

慈円

今年も終わろうとしています。
世の中不況で大変なことになっていますが、こんな時こそすべてを包み込んでくれるような人物を皆が待っているのではないでしょうか。
今年最後の歌として百人一首のこの歌をえらびました。

「おほけなくうき世の民におほふかなわが立つ杣(そま)に墨染の袖」 慈円
"身の程もしらず世の民の平安を祈って比叡山から墨染めの袖でおおいましょう”

「わが立つ杣」は伝教大師最澄の歌から取っています。
天下泰平は古くから比叡山の祈りです。今こそそれを祈ってよい年を迎えたいものです。

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2008年12月28日 (日)

白山

白山の話題が出ましたので、古今集から白山にちなんだ歌です。

「思ひやる越(こし)の白山(しらやま)知らねども 一夜も夢に越えぬ夜ぞなき」 紀貫之

紀貫之が越にいる友人に送った歌です。
越とは北陸地方のことで今でも越前、越中とかいいますね。

歌の意味は
“思いを馳せる越の白山は見たことがないけれど あなたのことを夢に見ない夜はありません”

貫之が彼女に送ったような歌ですが、友人だそうです。

白く雪を被った白山はほんとにきれいで、その神々しい姿は思わず手を合わせたくなります。

あいにく今日は白山が見えなかったので、今年の春にとった写真です。

Hakusan  

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2008年12月27日 (土)

今日起きてみると外は真っ白。いよいよ本格的な冬がやってきました。
こんな北陸の冬でも、晴れ間に夜空を見上げると時折、びっくりするほど沢山の星がきらめいて見えることがあります。
家持もそんな星空と白く積もった雪をみて、この歌を読んだのではないでしょうか。

「かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける」 大伴家持

“かささぎの渡した橋のように夜空には白く輝く星が光り、地上には白い雪が橋をかけている、夜も更けてきたのだなぁ。”

かささぎの渡せる橋というのは中国の七夕伝説で一年に一度、かささぎが羽をならべて橋を作って、天の川を渡るというものです。
なんとも雄大な歌ですね。星がいっぱい見える冬の夜空をみていると、いつもこの歌が浮かびます。

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2008年12月25日 (木)

夢の浮橋

源氏物語の最後の帖は「夢浮橋」ですが、夢の中の浮橋のように実体がなくはかない、目が覚めれば消えてなくなっている。
これが結局、源氏物語のテーマだったような気がします。

そこで思い浮かぶのが新古今集の定家の歌

「春の夜の夢の浮橋とだえして 峰に別るる横雲の空」 藤原定家

これは大好きな歌なので、以前にも紹介していますが、
すべては春の夜の夢のようにはかない。目が覚めると峰にかかっていた雲がフッと消えていくという幽玄な歌です。
定家は源氏物語を最後まで読んでこの歌を作ったのでしょう。
私の源氏物語のイメージは定家の春の夜の夢とピッタリ重なります。

これまで紹介した歌は約80首、源氏物語の中には800首ほどのうたがありますから、まだまだいい歌がたくさんあります。
これからも少しづつ紹介していくつもりですので、よかったらまたお付き合いください。
しばらくは源氏物語にこだわらず、いろんな和歌に触れていきたいと思います。

これまで紹介した和歌はホームページに一覧にしてありますのでご覧下さい。
まだ途中ですが、私なりの訳もつけています。

http://homepage3.nifty.com/wakaotazunete/genji.html

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2008年12月23日 (火)

源氏物語(夢浮橋)

浮舟が小野の里にいるということを聞きつけた薫は、浮舟の弟の小君に文を持たせ浮舟のところへやります。小君は死んだはずの姉が生きていたので喜んで向かいますが、浮舟は弟にも会おうとせず、文も見ようとしません。
浮舟の記憶はある程度戻ったようですが、もとに戻ることをひたすら拒み、仏道の道に生きる決意をします。

「法の師と尋ぬる道をしるべにて 思はぬ山に踏み惑ふかな」
“僧都のことを仏道の師とあおいできましたが 思わぬ恋の道に踏み惑うことになってしまいました”

一時は仏道の道を歩もうとした薫ですが、どう間違ったのか女君の後を追いかけては、ふらふらしているという有様になってしまいました。
最後には浮舟には別の男がいて隠しているのではないかと疑います。

そして長い長い物語はここで終わります。

死のうとして死にきれず出家して仏道の道に入る浮舟と、
浮舟に会おうとする薫、

みなさんはこの源氏物語の結末をどう思われますか、わたしはこの二人に、栄華を極めた光源氏や他の女君と共にやりきれない空しさ寂しさを感じます。
結局紫式部が言いたかったのも、このあたりなのかと思いますが、私にはうまく表現する力量がありません。
夢の浮橋というタイトルがすべてを現しているようにも思われます。

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2008年12月22日 (月)

源氏物語(手習)

宇治川に身を投げて死んでしまったと思われた浮舟ですが、川下で倒れて気を失っているいるところを、比叡山の横川の僧都(よかわのそうず)に助けられます。
身を投げようとして気を失ってしまい、後のことは覚えていません。

「身を投げし涙の川の早き瀬を しがらみかけて誰かとどめし」 浮舟
“涙のような宇治川の早瀬に身を投げた私を 誰がしがらみを架けて助けてくれたのでしょう”

しがらみとは川をせき止めるための柵のことです。
悲しくていい歌ですね。

そして浮舟は出家し、小野でひっそりと暮らしています。
薫は浮舟が生きているといううわさを聞きます。

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2008年12月20日 (土)

源氏物語(蜻蛉)「浮舟入水」

浮舟は夜の間に屋敷を抜け出して宇治川に身を投げます。
物語では浮舟が身を投げる場面は書かれておらず、朝になって行方がわからなくなったことになっています。
遺体も見つからないので死んだのだろうということで葬式もあげてしまいます。

薫は当然ショックを受けます。
が、しばらくすると困ったことにまた他の姫君を誘ったりしていて理解しかねます。

そのあげく結局恋とは思い通りにはならないものだとつぶやいたのが次の歌です。

「ありとみて手には取られず見ればまた 行方も知らず消えし蜻蛉」  薫
“そこにあるようで手に取ることができない 見ようとしても蜻蛉のようにどこかに消えてしまう。”

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2008年12月18日 (木)

源氏物語(浮舟)その弐

自殺を決意した浮舟は母君に歌を書きます。

「のちにまたあひ見むことを思はなむ この世の夢に心まどはで」  浮舟
“この世の夢には惑わされずあの世でまた会うことを願っています。”

「鐘の音の絶ゆる響きに音をそへて わが世つきぬと君に伝へよ」  浮舟
“鐘の音が消えてゆくように 私の命も尽きたとつたえて下さい。”

浮舟に残された道はこれしかないのでしょうか。

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2008年12月17日 (水)

源氏物語(浮舟)

薫が隠してしまった浮舟の居所を匂宮は嗅ぎつけ、薫のふりをして宇治の浮舟のもとへ忍び込みます。強引に一夜を共にしてしまいます。
薫ではないと気付いた浮舟ですが、この歌のやり取りでもわかるように匂宮を愛してしまいます。

「長き世を頼めてもなほ悲しきは ただ明日知らぬ命なりけり」 匂宮
“あなたとの行く末を誓っても 悲しいのは明日の命もわからないことです。”

「心をば嘆かざらまし命のみ 定めなき世と思はましかば」 浮舟
“わからないのが命だけならば なにも悲しんだりはいたしません。”

薫と匂宮の間で悩みぬいた浮舟はついに自殺を決意します。

今日も冬の北陸とは思えぬよい天気です。
窓から裏の畑の方を見てみるとキジのカップルが仲良く歩いていました。
人間の世界ではなぜこの鳥のようにうまくいかないのか、などと考えてしまいます。

Kiji

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2008年12月16日 (火)

源氏物語(東屋)

浮舟に亡き大君の面影を見て、なんとか自分のものにしたいと思っている薫は、匂宮も浮舟のことを狙っていることを知り、宇治へ浮舟を連れて行き隠します。
その道すがら車の中で浮舟を抱きしめながら薫が読んだ歌です。

「形見ぞと見るにつけては朝露の 所せきまでぬるる袖かな」
“大君の面影をこの人に見ながら進んでいると 宇治川の朝露と涙で袖も濡れてしまいます”

牛車でさびしく宇治へ向かうロマンチックなシーンですが、やはり浮舟はかわいそうです。

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2008年12月15日 (月)

兼六園:雪吊り

最近は暖冬でここ北陸でも晴れている日が多く、近くを通ったのでぶらりと兼六園へ入ってみました。霞が池に写る雪吊りがきれいだったので、携帯ですが撮ってみました。

雪は少なくなりましたが気温がたかく雪が重いので、雪吊りは多くなっているそうです。
雪の兼六園も写してみたいと思いますが、寒いのでなかなか・・・

Kenrokuen

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2008年12月12日 (金)

源氏物語(宿木)

大君が亡くなり悲嘆にくれていた薫は、宇治で浮舟の姿を垣間見ます。

また垣間見から悲劇がはじまります。
最後のヒロインは浮舟。
浮舟は故八宮の娘なのですが、正妻の子ではなかったのでこれまで会うことはなかったのですが、なんとその姿は今は亡き大君にそっくりで、薫は一目見ただけで心を引かれてしまいます。

「かほ鳥の声もききしにかよふやと しげみを分けてけふぞ尋ぬる」
“かほ鳥の声も以前聞いたことがあるように思えて 茂みをかき分けて訪ねてきました”

“かお鳥”とは、どんな鳥なのかよくわからないのですが、辞書には春になく美しい鳥、とあります。浮舟の顔があまりにも美しいのでこういう鳥にたとえたのでしょう。
薫は、きまじめ・堅物などといわれる性格だけに、一度思いつめると止まりません。

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2008年12月 8日 (月)

源氏物語(早蕨)

中の君は匂宮に強引に結婚させられます。
父八の宮が亡くなり、病気気味だった大君が亡くなり、
残された中の君は悲しみにくれます。

匂宮は中の君を京に連れて行くことになり、宇治を離れなければならない中の君はますます悲しみにくれます。

「ながむれば山よりいでてゆく月も 世にすみわびて山にこそ入れ」 中の君
“山から出た月もこの世にすみ侘びて山に帰ってゆく 私もそうなるのでしょうか”

京へ向かう道中、月を見ながら寂しい歌を読みます。

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2008年12月 5日 (金)

年賀状イラスト

いつもイラストを使わせていただいている「和歌の総角」のしまめぐみさん作の年賀状イラストが、主婦と生活社刊『印刷するだけ年賀状2009(別冊すてきな奥さん)』に載っています。

もちろん私も買いました。印刷するだけですてきな年賀状が出来ます。
源氏物語のイラストはありませんが・・・

http://waka.or.tv/annex/nenga2009-1.html

Nenga20091

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2008年12月 4日 (木)

源氏物語(総角)

八宮も亡くなり宇治の山里にさびしく暮らす美しい姉妹に薫と匂宮は思いを寄せます。こう書けばきれいなのですが、ほとんどストーカーです。
姉妹のほうは非常に困っています。

今度は薫が大君に歌を送ります。

「あげまきに長き契りを結びこめ おなじ所によりもあはなむ」
“あげまき結びに末長い契りをこめて 一緒に暮らしたいものです”

「ぬきもあへずもろき涙の玉の緒に 長き契りをいかがむすばむ」 大君
“つなぎとめることも出来ない涙の玉なのに 末長い契りなど結ぶことは出来ません”

総角(あげまき)というのは紐の結び方のことです。
イラストで薫が持っているのが総角結びです。

Ge_age 「和歌の総角」より

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2008年12月 2日 (火)

源氏物語(椎本)

薫から宇治の姫君の話を聞いた匂宮は、なんとか会ってみたいと思い長谷寺詣での帰りにわざと宇治に一泊します。下心ありありです。

匂宮はさっそく桜の枝を折り歌を添えて送ります。

「山桜匂ふあたりに尋ねきて おなじかざしを折りてけるかな」 匂宮
“山桜の匂う宇治まではるばる訪ねてきて あなたが挿しているのと同じ花を折ってきました”

歌を送られた姉妹は困ってしまいます。姉の大君(おおいきみ)はかかわりたくないので妹の中の君の返事をさせます。

「かざし折る花のたよりに山がつの 垣根を過ぎぬ春のたびびと」 中の君
“私ども住まいを訪ねてくださったのは 花を折るついでだったのでしょう”

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