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2009年2月 4日 (水)

伊勢物語:第一段

伊勢物語を少し読んでみたら、おもしろくて思わずのめりこんでいまいました。
一段が短いので、原文でも十分読めます。意味がわからなくても声に出して読んでいるとふしぎとわかります。和歌もいいし、源氏物語とはまた違った面白さがあります。

第一段

『昔、男初冠(うひかうぶり)して、平城(なら)の京春日(かすが)の里に、しるよしして、狩にいにけり。
その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。
この男かいまみてけり。おもほえずふるさとにいとはしたなくてありければ、心地(ここち)まどひにけり。
男の着たりける狩衣(かりぎぬ)の裾を切りて、歌を書きてやる。その男、しのぶ摺(ずり)の狩衣をなむ着たりける。

「春日野の若紫すり衣しのぶのみだれかぎり知られず 」

となむおひつきていひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。

「みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑにみだれそめにし我ならなくに」

といふ歌の心ばへなり。昔人(むかしびと)は、かくいちはやきみやびをなむしける。』

“初冠”は元服のこと、しのぶ摺=“しのぶもぢずり”は東北の染め物です。、伊勢物語は古文の教科書によくでてくるので、高校生あたりはこのへんで古文がだんだん嫌いになっていきます。それでは困るので少しおもしろくすると。

“いとなまめいたる”はメチャクチャ色っぽい。“はらから”は兄弟なので、
“いとなまめいたる女はらから”は“叶姉妹”です。
“いとはしたなくて”は今のはしたないではなくて、田舎にはふさわしくないという意味です。

ということでこの話はこんな内容です。

「元服したばかりの業平君は奈良の春日の里に狩りに出かけた時に、偶然、叶姉妹のようなメチャクチャ色っぽい姉妹をかいま見てしまった。こんな田舎にこんな美人がいるとは!
それで、いてもたってもいられなくなり着物の袖を破って和歌を書いて送った。
そういえば昔の和歌にも『しのぶもぢずり』が出てきたのがあったっけ。昔の人もなかなか風流なものだ。」

伊勢物語の出だしはこんな調子ではじまります、これからこの業平君はどんな風に成長していくのか楽しみですね。
最後の和歌は、百人一首にも入っていますが、光源氏のモデルの最有力人物、源融(みなもとのとおる)の歌です。「しのぶもぢずり」というのは福島県に伝わるしのぶ草で染めた染物で、その乱れた模様を自分の心にたとえて、“あなたのせいで私の心も染め物の模様のようにみだれています”という意味です。

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コメント

「叶姉妹」これぞ近代訳そのものではありませんか。スバラシィー。楽しみです。

投稿: 豪腕プチリンコ | 2009年2月 4日 (水) 20時31分

千年前の叶姉妹はどんなだったのでしょう。

投稿: kazu | 2009年2月 4日 (水) 22時01分

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