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2009年3月22日 (日)

伊勢物語「第六十二段」:これはひどい・・・

前に紹介した六十段とよくにた話です。
六十段で男は三年間留守にしたらほかの男と一緒になった女に、自分が悪かったと思ってかっこよく「幸せになれよ」といって田村正和のように去りますが、今度は違います。

はじめの展開はほとんど同じです。

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何年間かたずねていかなかったらほかの男と一緒になっていた。
偶然、地方を訪れた以前の夫に食事を出すことになってしまった。
男は夜になって女を呼び、こんな歌を送った。

「いにしへのにほひはいづら桜花 こけるからともなりにけるかな」
“昔の桜花の美しさはどこへいったものやら 花も落ちて幹だけのみすぼらしい姿になったものよ。”

返事も出来ないでいる女に、なぜ黙っていると言うと女は、
「涙がとまらず、目も見えず声も出ません」と答える。

男は、

「これやこの我にあふみをのがれつつ 年月ふれどまさりがほなき」
“これはまた私のもとを出て行って年月がたったが全くきれいにもなっていないし、生活もよくなっていないのだなぁ”

と、泣き崩れ声も出ない女に追い打ちをかけるような歌を送り、自分の服を脱いで与えた。

女はそれを捨てて逃げてしまい、行方不明になった。

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これでは、ひどい男といわれてもしょうがありません。
俵万智さんは「恋する伊勢物語」の中で、この物語の中で一番ひどい男だと言っています。
すくいようがありません。


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コメント

許されない男ですね。女の敵だ。鉄槌を。

投稿: 豪腕プチリンコ | 2009年3月22日 (日) 17時46分

これはかわいそうですよね。
最後は行方不明だったり、出家したり、死んでしまったリ、女性の方がかわいそうな物語がおおいですね。

投稿: kazu | 2009年3月23日 (月) 16時02分

この物語も、現代となっては男女が入れ替わった方が現実感がありますね。
久しぶりにあった昔の恋人の女性に馬鹿にされる男・・・。
男女の意識が随分と変わったことが、伺いしれます。

投稿: 西森憲司 | 2009年3月23日 (月) 17時22分

>西森さん、コメントありがとうございます。

そういわれてみれば、今では女性にひどいことを言われて、逃げ出す男のほうが多いかもしれませんね。

投稿: kazu | 2009年3月23日 (月) 17時49分

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