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2009年10月12日 (月)

伊勢物語「第百七段」:代筆

ここのところ百人一首を紹介しておりますが、中納言行平、藤原敏行などは伊勢物語にも登場しております。

ということで伊勢物語の第107段。

藤原敏行さんのお話です。
「昔、あてなる男ありけり」で始まりますが、その男とは例の在原業平さん。
その家にいた若い娘を藤原敏行さんがすきになり歌を詠んで送りました。

でもその女は若くて歌も上手に書けないのでそこの主人が代わりに書いてやりました。ラブレターの代筆みたいなものですが、代筆したのがなにせあの業平さんですから、みごとな歌になります。

「つれづれのながめにまさる涙河 袖のみひぢて逢うよしもなし」
“あなたのことを思っていると長雨のときの川よりも多いほど、私の涙で袖が濡れて、あなたに逢うこともできません”

「あさみこそ袖はひづらめ涙河 身さへながると聞かばたのまむ」
“涙の川も浅いので袖がぬれるくらいなのでしょう。体ごと流されるくらいならあなたの思いを聞いてもいいですよ”

と、みごとな歌を返します。業平さんの代筆ですから当然です。

男は代筆とはきづかず、めでたく一夜を共にします。

その後の雨の日に男が女のところへいこうかどうか迷っていると、またも業平さんの代筆で、

「かずかずに思ひ思わずとひがたみ 身をしる雨はふるぞまされる」
“私を思ってくださっているのか聞くことはできませんが、この雨だけが私の気持ちを知っています”

と、またまたみごとな歌を送ったので、敏行さんは蓑も笠もつけず大急ぎでびしょ濡れになってやってきました。こんな歌を送られたら彼女の元へ走らずにはいられませんよね。

敏行さんは代筆とも知らず、かわいそうな気もしますが、めでたく結ばれたので、まぁいっか。
サイドバーのおすすめの和歌は敏行さんの歌に替えました。

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コメント

こんにちは。

拙ブログへコメント頂きましてありがとうございました。

ざっと拝見させていただきました、後でまたゆっくりお邪魔しようと思っていますがかなり親しみのある和歌がたくさんでてきて懐かしくなりました。

かつては百人一首を全て暗記したり万葉の世界にはかない憧れなども持ったこともありました。

伊勢物語も読んだ記憶はありますが残念ながらほとんど残ってはいません。

おすすめの藤原敏行の和歌は覚えていますね。

それにしても私の稚拙な五七五やブログが恥ずかしくなるような記事解説ばかり敬服します。

またお邪魔させていただきます、ありがとうございました。

投稿: 小愚 | 2009年10月14日 (水) 12時20分

小愚さま、
ようこそおいでくださいました。

たまには、かるーく和歌など読んでいってください。
俳句もいいもんですね。

投稿: kazu | 2009年10月14日 (水) 16時09分

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