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2010年9月22日 (水)

須磨の秋風(源氏物語)

秋風が吹いてすずしくなってくるとなんとなくものがなしくなってきます。
この秋は源氏物語でも読もうかとふと思いつきました。秋風が吹きさびしい場面から。

光源氏は都を追われ少ない供の者と須磨に流されています。
前に紹介した「心づくしの秋風」で始まります。家はあばら家、共の者も何人かいるだけで、波の音がいやに近くに聞こえてきて、心細い。
源氏はなかなか寝付けず、琴を弾いてみますが、あまりにさびしく聞こえるのですぐにやめてしまい歌を詠みます。その歌があまりにも悲しくて供の者も寝ることができず、すすり泣きしています。

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 須磨には、いとど心づくしの秋風に、海はすこし遠けれど、行平中納言の、「関吹き越ゆる」と言ひけむ浦波、夜々はげにいと近く聞こえて、またなくあはれなるものは、かかる所の秋なりけり。
 御前にいと人少なにて、うち休みわたれるに、一人目を覚まして、枕をそばだてて四方の嵐を聞きたまふに、波ただここもとに立ちくる心地して、涙落つともおぼえぬに、枕浮くばかりになりにけり。
 琴をすこしかき鳴らしたまへるが、我ながらいとすごう聞こゆれば、弾きさしたまひて、

 「恋ひわびて泣く音にまがふ浦波は 思ふ方より風や吹くらむ」

 と歌ひたまへるに、人びとおどろきて、めでたうおぼゆるに、忍ばれで、あいなう起きゐつつ、鼻を忍びやかにかみわたす。
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「恋ひわびて泣く音にまがふ浦波は 思ふ方より風や吹くらむ」
“恋しくて泣いているような浦風は、都で思っている人の方から吹くから悲しいのだろうか”

ここに出てくる行平の歌、
「旅人は袂すずしくなりにけり 関吹き越ゆる須磨の浦風」
“須磨の関を海風が越えてゆく季節になった、旅人の袂も寒そうだ”
須磨の関は百人一首にも出てきます。

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