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2010年10月20日 (水)

紫の上との別れ(須磨)

少しさかのぼって須磨へ旅立つ当日、紫の上と別れの言葉を交わす場面です。

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「月出でにけりな。なほすこし出でて、見だに送りたまへかし。いかに聞こゆべきこと多くつもりにけりとおぼえむとすらむ。一日、二日たまさかに隔たる折だに、あやしういぶせき心地するものを」

 とて、御簾巻き上げて、端にいざなひきこえたまへば、女君、泣き沈みたまへるを、ためらひて、ゐざり出でたまへる、月影に、いみじうをかしげにてゐたまへり。「わが身かくてはかなき世を別れなば、いかなるさまにさすらへたまはむ」と、うしろめたく悲しけれど、思し入りたるに、いとどしかるべければ、

 「生ける世の別れを知らで契りつつ 命を人に限りけるかな」
 「はかなし」

 など、あさはかに聞こえなしたまへば、

 「惜しからぬ命に代へて目の前の 別れをしばしとどめてしがな」
 「げに、さぞ思さるらむ」
 と、いと見捨てがたけれど、明け果てなば、はしたなかるべきにより、急ぎ出でたまひぬ。
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源氏のセリフからです。
「月も出てきた。こちらへ来て見送っておくれ。1、2日いないだけでふさいでいるのだから」
紫の上は御簾をあげて出てきます。
「私が須磨で死んでしまって帰ってこなかったら、紫の上はどうなるのだろうか」

源氏の和歌
「生き別れなんてものがあるとは知らず、死ぬまで一緒にいられると思っていましたが」
紫上の和歌
「惜しくない命に代えても 別れの時を引き延ばしたいものです」

と、和歌を交わしますが、夜が明ける前にと、急いで旅立ちます。

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