和歌

2019年5月 2日 (木)

令和

元号が令和に変わりました。

万葉集からの引用だということで、にわかに万葉集が注目されています。
私も万葉集は大好きなのですが、今回の梅花の宴の部分は知りませんでした。

序文にその箇所があります。

「天平二年正月十三日、師老(しろう)の宅に萃(あつ)まり、宴会を申(の)ぶ。時に、初春の令月、気淑(うるわ)しく風和らぐ。・・・」

訳は岩波の全集の解説から、
「師老の宅に集まって宴会を開く。あたかも初春のよき月、気は麗らかにして風は穏やかだ。梅は鏡台の前のお白粉のような色に花開き、・・・」

いい序文ですね、穏やかな春の日に、梅の花を鏡の前のおしろいにたとえていますが、この時代からお化粧の文化はあったのかな。

何か穏やかな時代を予想させるいい年号だと思います。

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写真は先日撮った小松天満宮の梅。

 

 

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2016年2月28日 (日)

東風吹かば

ひさしぶりの良い天気で、梅の花を見ようと小松市の小松天満宮へ行ってきました。
天満宮ですから菅原道真を祀っています。

「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな」 菅原道真、拾遺集

道真が大宰府へ左遷されるときに詠んだ有名な歌です。

”東風が吹いたなら梅の花よそのにおいを飛ばして遅れ、主がいなくても春を忘れるなよ”

大宰府で亡くなった後、怨霊となって恐れられ各地に天神さまとして祀られるようになりました。
この時代、何か天変地異や疫病が流行ったりすると怨霊のせいにされてしまいます。
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小松天満宮の梅は見ごろでした。梅の匂いも香り、菅原道真の気持ちも分かるような気がします。

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2014年8月 7日 (木)

白蓮

白蓮という人についてはあまり詳しくないのですが、連続テレビ小説で最近は有名らしいです。

その白蓮の書いた額が小松市安宅の料亭で見つかったと今朝の新聞に載っていました。
その歌がなかなかいいので取り上げてみました。

「これやこの安宅の関か旅人の めになつかしきまぼろしの見ゆ」

“これやこの”というのは百人一首の蝉丸の歌にも出てきますが、これがあの有名な・・・というような意味ですね。

さてこの白蓮という人、調べてみると大正三美人の一人だとか、年下の青年と駆け落ちしたとか、戦争で子供を失い平和運動をしていたとか、波乱万丈の人生を歩んだようですが、安宅の関でどんなまぼろしをみたのでしょうか。

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2014年5月20日 (火)

かきつばた

「なんじゃもんじゃ」の花を見た後は兼六園へ。

ちょうどカキツバタの花が見ごろでした。兼六園はこの頃が一番いいかなと私はいつも思います。

カキツバタといえば在原業平。
毎年このブログにも書いていますが、あの有名な伊勢物語に出てくる和歌です。

 からころも
 きつつなれにし
 つましあれば
 はるばるきぬる
 たびをしぞおもふ

三河の八橋というところまできたとき、即興でかきつばたの文字をを句の頭において詠んだという話です。

“か・き・つ・ば・た” “お・も・て・な・し” なんとなく五文字が日本人は好きなのかな・・・

和歌の詳しい説明はこちら →伊勢物語第九段
朗読もあります →朗読

Kakitubata1

Kakitubata2

Kakitubata3

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2014年1月 7日 (火)

白山

こんないい天気の日は、北陸の冬ではめったにありません。
どこかへ出かけたいところですけど、今日は外を眺めて気分転換。白山がきれいです。

白山を詠んだ和歌もいくつかあります。
これは古今集から紀貫之(きのつらゆき)の歌。
こんな時代から白山は有名だったようですね。

「思ひやる越(こし)の白山(しらやま)知らねども 一夜も夢に越えぬ夜ぞなき」 紀貫之

“北陸の方の白山はまだ見たことがないのだけど、夢のなかでは毎日あなたのところへ行っていますよ。”

これはこの時代だからいいのであって、今こんなことを言ったら絶対きらわれますので、やめといたほうがよさそうですね。でも結構好きな歌ですけど。

Hakusan

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2014年1月 6日 (月)

初子

1月5日は初子(はつね)の日、新年の初めての子の日には特別な意味があります。帝に飾りのついたほうきを捧げる日で、万葉集にも出てきます。

大伴家持の歌で、飾りの宝石などが揺らいでいる様子を詠んでいます。

「初春の初子(はつね)の今日の玉箒(たまばはき) 手に執(と)るからにゆらぐ玉の緒」 大伴家持

Daikichi

いつも初詣へ行って暦を買うのですが、売り場のバイトの巫女さんたちは暦といってもまずわかりません。今年も暦がほしいというと、何人もいる巫女さんたちがパニックになって事務所まで聞きに行こうとするので、「そこにおいてある本みたいなやつです」と言って教えてやっとわかってもらえました。
毎年のことなので慣れましたが、「ちゃんと教えといてくれ!」とつっこみそうになったけどお正月なのでありがたくいただいて帰りました。

Reki

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2014年1月 3日 (金)

新しき年 2014年

明けましておめでとうございます。

「新(あらた)しき年の初めの初春の 今日ふる雪のいや頻(し)け吉事(よごと)」 大伴家持
“新しい年の始まり、初春の今日、この降る雪のように良きことが続きますように”

この歌を紹介するのは、これで7回目です。
今年のお正月は北陸にしてはめずらしく穏やかなお天気です。
この雪のようにいいことが降り積もってほしいと願う歌ですが雪は全くありません。

ということで遅めの初詣に出かけてきました。
家の近所からは白山も見えています。神社は白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)。

Hakusan

Shirayama

おみくじは私の場合なぜか凶の出る確率が異常に多い。
この前も、とある神社であまりに凶が多いのでちょっと高めのおみくじを引いた。振ると棒が出てきて書いてある番号の紙をもらうやつ。
出てきた棒には四番と書かれてあり、それを見せたとき巫女さんの顔が一瞬こわばった。やっぱり凶だった。
でもまあ大したこともなく暮らせているのでいいかと思っていたが、今日は大吉だった。逆になにか不安だけど、いい年になりますように。

Omikuji

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2013年11月 1日 (金)

安曇野 その弐

安曇野には絵本の美術館がいくつかあり、もうひとつ行ったのが「森のおうち」というところ。
宮沢賢治の絵本を中心に展示してあります。
今回は遠山繁年というかたの「永訣の朝」という本の原画展をしていました。宮沢賢治の詩は大好きなのですが、かなり難解なものが多くなかなかイメージがわかないのですが、この本の絵はすばらしく、詩のイメージがすごくわいてきます。
魅入られてしまって長い間眺めていると、なんと作者本人がおられ、館長さんが紹介してくれました。たまたま行ったのになんと幸運な!

この本がどうしてもほしくなりましたが絶版だということで、館長さんも残念がっておられました。
帰ってからすぐにネットでさがすと古本がでていたのですぐに手に入れました。


大好きな青森挽歌の一部を引用してみます。

 こんなやみよのなかをゆくときは
 客車の窓はみんな水族館の窓になる

  (乾いたでんしんばしらの列が

   せわしく遷っているらしい

   きしゃは銀河系の玲瓏レンズ
   巨きな水素のりんごのなかをかけている)

実りの多い旅でした。

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3

ほんとに森の中にあるすてきな美術館です。

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2013年7月30日 (火)

能(葵上)

ひさしぶりに能を観てきました。
今回の演目は源氏物語を題材とした葵上(あおいのうえ)。

はじめて観ましたが、なかなか動きもあって楽しめました。
六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)の生霊(いきりょう)と比叡山の僧が戦います。
といっても僧は数珠をならして行ったり来たりするだけなのですが、見ていると不思議と引き込まれてしまいます。
葵上(あおいのうえ)に至っては着物が一枚置いてあるだけなのですが、そこが伝統芸能のすごいところで、生霊に祟られている葵上に見えてきます。

和歌は源氏物語から六条御息所に取りつかれた葵上が詠む歌。

「嘆きわび空に乱るるわが魂(たま)を 結びとどめよしたがひのつま」葵の上(実は六条御息所の生き霊)

“嘆き悲しんで空にさまよっている私の魂を、お願いですからつなぎとめておいて下さい”
といういつのまにか生霊になってしまった御息所の悲痛な叫びです。

『したがいのつま』については以前の記事に書きましたので参考にしてください。→こちら

実は私は源氏物語に登場する女性の中ではこの六条御息所が一番好きでして、知性的なんだけど生霊になってしまう、すごいキャラクターですが・・・

写真は石川県立能楽堂です。上演中は撮影禁止なので開演前です。

Nou

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2013年2月11日 (月)

水仙

越前海岸へ行ってきました。今年は水仙の開花が遅いらしく。いつもは1月に咲くのですが今年はようやく咲き始めたようです。

冬の日本海の海岸沿いに咲く水仙は、可憐でいいですね。
ほんとに荒海に向かって耳を澄ましているかのように見えます。

古典ではありませんが俵万智さんの素晴らしい水仙の短歌があります。
俵万智さんのふるさとは越前海岸だそうです。

「海鳴りに耳を澄ましているような 水仙の花ひらくふるさと」

「水仙のうつむき加減やさしくて ふるさとふいに思う一月」

昨日2月10日は雪交じりの寒い日でしたが、時々日も差し、海は穏やかでした。
水仙が咲きそろうのはもう少し後だと思いますが。

Suisen

Echizenkaigan

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