2013年4月 6日 (土)

金沢の桜は満開です。

明日からは大荒れの天気になるらしく、散ってしまうのかなと思うとちょっとさびしいですが、伊勢物語から二首選んでみました。

水無瀬というところで狩りをして桜の木の下で、身分の高い人も低い人も、お酒を飲み歌を詠んで騒いでいます。さすがにカラオケはありませんが、日本人は千年前から同じようなことをやってきたんですね。

「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」
“世の中にもしも桜がなかったら、春はもっとのどかなものだったろうに”

「散ればこそいとど桜はめでたけれ うき世になにか久しかるべき」
“散るからこそ桜はすばらしいのだ。世の中に変わらないものなどないのだ。”

酔っぱらって好きなことを言っているという感じですが、あまり人のことは言えません・・・

写真はフェイスブック友達のYamamura Naokoさんからお借りしました。

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2013年3月17日 (日)

梅の花

金沢ではようやく梅が咲き始めました。

「大空は梅の匂ひに霞みつつ 曇りも果てぬ春の夜の月」 藤原定家、新古今集

この歌は大江千里の有名な
「照りもせず曇りも果てぬ春の夜の おぼろ月夜にしくものぞなき」
を本歌取りしたものですが、梅の匂いで月も霞んでいるという、すてきな表現です。

春霞の時期は大好きなのですが、
どうも最近は、黄砂とかPM2.5とか花粉症とかが気になって・・・

写真は兼六園で咲き始めた梅の花です。

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2013年2月 2日 (土)

少し春ある心地こそすれ

急に気温が上がって、4月の陽気だそうです。でも明日からまた冬型の天気だとか・・・

「空寒み花にまがへて散る雪に 少し春ある心地こそすれ」 枕草子
(そらさむみはなにまがえてちるゆきに すこしはるあるここちこそすれ)

“空が寒いので梅の花に見間違がえるように散る雪に 少し春を感じる気がします”

この歌は宮中の連歌の席で藤原公任が出した下の句『少し春ある心地こそすれ』に清少納言が上の句『空寒み花にまがへて散る雪に』を返して歌ったものです。

本歌は白楽天の漢詩で「三時雲令多飛雪、二月山寒小有春」。

さすがは清少納言。白楽天などは完璧に頭に入っていて即座にこの上の句を返したそうです。すごい!

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2012年4月18日 (水)

桜-西行 その弐

花の下で死にたいとまで言った西行が愛したのは、吉野の桜でした。
行ったことはありませんが、今頃はすばらしいでしょうね。

「吉野山梢の花を見し日より 心は身にもそはずなりにき」 西行
(よしのやま こずえのはなを みしひより こころは みにも そはずなりにき)

“吉野山の梢の花を見た日から 心は体を離れてしまった”

あまりの美しさに西行の心は吉野山で幽体離脱してしまったのでしょうか。こんな感覚味わってみたいですね。

写真は吉野山ではありませんが近所の桜並木、こちらもなかなか見事です。(@野々市市御経塚)

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2012年4月16日 (月)

桜-西行

金沢の桜は満開です。

桜の和歌はこれまでたくさん紹介してきましたが、究極はこの歌でしょうね。
桜をこよなく愛した西行の有名な歌です。

「願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ」 西行

(ねがわくははなのしたにてはるしなむ そのきさらぎのもちづきのころ)

“かなうものなら桜の花の下で死のう。如月の満月のころ、お釈迦様が亡くなったというその日に。”

旧暦の如月(二月)は今の暦では桜の時期です。お釈迦様が亡くなったという日も満月だったということです。
そして西行もこの時期に亡くなったということです。

若くして地位も名誉もすべてを捨てさり出家の道を選んだ西行は73歳でなくなるまでに何を悟ったのか想像もできませんが、なにか西行にはあこがれるものがあります。

写真は昨日(4月15日)の兼六園

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2012年4月14日 (土)

かたかごの花

カタクリのきれいな写真をお借りすることができたので、やっとこの歌を紹介することができました。万葉集から大伴家持の歌です。
万葉集ではカタクリの花はかたかごの花とも呼ばれています。

「もののふの八十をとめらが汲みまがふ 寺井の上のかたかごの花」 大伴家持
もののふのやそをとめらがくみまがふ てらゐのうへのかたかごのはな

これは家持が越中(高岡)に赴任した時に作った歌です。
“お寺の井戸のまわりで乙女らが水を汲んでいる。井戸のまわりに咲いているかたかごの花のように愛らしいなぁ”

家持はじっと少女たちが水を汲むのを眺めています。はるばる平城京から越中へ赴任してきて都を思い出しているのでしょうか、けっしていやらしい目で眺めているのではありません、たぶん・・・

写真はFB友達の志奈さんからお借りしました。
いつもありがとうございます。
Blog山猫庵@金沢

Katakuri


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2012年4月11日 (水)

梅の花 その弐

すてきな梅の花の写真をお借りすることができたので、梅の花の和歌をもう一つ紹介します。
梅を詠った和歌では外すことのできないのが、この紀貫之の歌。百人一首にも載っています。前回紹介した紀友則と紀貫之はいとこ同士です。

「人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける」 紀貫之、百人一首

“ひさしぶりに奈良の長谷寺を訪ねたときのこと、昔懐かしい家の庭に梅の花が変わらず咲いていた。『ここの主人の気持ちは以前のまま変わらないでいるだろうか。花は昔と同じように咲いて匂っているが・・・』

さて、その主人とは、私の希望的推測では色っぽい女主人なのですが、残念ながら男友達だという意見が多いようです。

写真は『火曜日写真』というブログを書いていらっしゃるprisoner6さんからお借りしました。すばらしい写真ですね。写真はまだまだありますのでぜひブログの方をご覧ください。

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2012年4月 2日 (月)

梅の花

今日の金沢は春らしいいい天気。
桜はまだまだのようですが、梅は満開です。

古今集から梅の和歌です。

「君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をも知る人ぞ知る」 紀友則、古今集
(きみならでたれにかみせんうめのはな いろをもかをもしるひとぞしる) きのとものり

“君のほかに誰に見せようかこの花を、君以外にこの色と香りをわかる人はいないだろうね”

ちょっとキザですが、こんな風に梅の花を渡してみたいものです。でも私ではちょっと無理があるのでやめておきます。

『知る人ぞ知る』という言葉はこの歌から来ています。わかる人だけが分かるという意味。

写真は知る人ぞ知る、金沢市役所前の花時計の横に咲く梅。
某テレビ局も取材に来ていました。今日のニュースにのせるのかな。

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2012年2月 6日 (月)

立春

今年の雪はかなり大変です。
今日は少し気温が上がり、ちょっと一息というところでしょうか。

暦の上では立春もすぎ、春の気配もというころなのですが・・・北陸の春はまだまだでしょうか。

でも少しだけ春の気配が入った和歌もいいと思います。

「冬ながら空より花の散りくるは 雲のあなたは春にやあらむ」 清原深養父(きよはらのふかやふ)

古今集からです。百人一首でおなじみの清原深養父さんは雲のかなたが好きなようです。雪が降ったのを見て、

“冬なのに空から花が散ってくるということは、雲のかなたは春なのか!”

毎日雪かきをしているとなかなかこんな優雅な気持ちにはなれませんが・・・

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2011年2月26日 (土)

梅に鶯

梅の便りもちらほらと聞こえ、3月か4月のような天気が続きますが、まだ2月です。このまま春に、ということもないでしょう。

「梅が枝に鳴きて移ろふ鶯の 羽白妙(はねしろたえ)に淡雪ぞ降る」よみ人しらず

この歌は万葉集からですが新古今集にも載せられています。梅の枝をあちこちと渡っているうぐいすの羽を白くして淡雪が降っているという情景です。

梅と鶯の和歌はいっぱいあります。それに雪と月をあわせたものも多いですね。
現代では春と言えば桜ですが、昔は梅の方が春のはなのトップだったようですね。

まだ今年は鶯の声は聞いていませんが・・・

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